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左官工事業とは

左官工事の定義は建設業許可において以下のように定められています。
「工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター(壁や天井の仕上げ材)、繊維などをこてで塗り、吹き付け、又は貼り付ける工事」
多くの人が「左官」と聞いてイメージするのは、壁などに漆喰をこてで塗っている姿かもしれませんが、定義においては吹き付けや貼り付け工事なども左官工事に含まれます。
ただし左官工事業として許可を取得するためには、いくつかのハードルがあるのも事実です。
特に近年は「人」の確保が高いハードルとなっています。

左官工事の建設業許可を得るための3つのポイント

左官工事の建設業許可を得るのは容易なことではなく、特に人の確保が難しいハードルになります。
ポイントは3つありますので解説しましょう。
まず1つ目のポイントは、「経営業務の管理責任者」が必要となる点です。
申請会社の登記簿上の役員になっていることが必要であり、5つの要件のうちどれかを満たさなければ経営業務の管理責任者にはなれません。
1.左官工事業を営む会社で役員(取締役)として5年以上の経験がある
2.左官工事業以外の工事業(業種)を営む会社で役員(取締役)として6年以上の経験がある
3.左官工事業を営む個人事業主として5年以上の経験がある
4.左官工事業以外の工事業(業種)を営む個人事業主として6年以上の経験がある
5.左官工事業を営む会社又は個人事業主の元で6年以上の経営補佐経験がある
これらのいずれかを満たす人のみが、経営業務の管理責任者になり得る人です。
次に2つめのポイントが、「専任技術者」が必要となる点です。
専任技術者となれるのは、一級もしくは二級建築施工管理技士(躯体・仕上げ)、技能士「左官」(二級は実務経験3年を要する)、登録左官基幹技能者、登録外壁仕上基幹技能者です。
もしくは建築学、土木工学を卒業し、かつ一定の実務経験があることで、高校もしくは中等教育学卒業の場合は5年以上、大学・高等専門学校卒業の場合は3年以上の実務経験が必要となります。
あるいは左官工事業にかかる建設工事の実務経験が10年以上あることです。
ただしこれも特定建設業許可を取得するためには実務経験のみでは取得できず、指導監督的実務経験が2年以上あることが必要です。
これだけ非常に厳しい決まりがあると、個人が左官工事業者として独立するのはあきらめたくなってしまうかもしれません。
中でも一番ハードルが高いのが、専任技術者の確保だといわれています。
そのため、もし自分が専任技術者に該当する資格者という場合には、逆に大きなアドバンテージを持つことになります。
実務経験をもって専任技術者になろうとする場合には、過去の実績を証明できる証拠書類が必要となりますので、それがどれだけ残せているかどうかがポイントです。
たとえば過去に受けた注文書や契約書、請求書の控えなどが証拠書類に該当しますが、何がどれだけ必要かは都道府県によってもかなり違いがあるのが実情です。
中には工事と工事の間隔が空きすぎると該当しないとするところもあるため、そう簡単ではないでしょう。
また人の面でクリアしても、建設業許可取得のためには欠格要件に該当しないことを証明し、資産要件として500万円以上の預金も必要となります。
さまざまな要件もすべてクリアしてはじめて得られる許可ですので、そこはあらかじめ肝に銘じておく必要があるでしょう。

左官の仕事内容

左官工事業の許可を取る難しさは前述の通りですが、そもそも左官というのはどのような仕事なのか、その世界を紹介します。
日本において左官はなくてはならない職業であり、左官が見事な塗りの技を見せる姿は、テレビや実際の作業で目にしたことのある人もいるでしょう。
左官ほどその人の腕や状況によって出来映えが左右される技術はなく、常に創意工夫が求められるといいます。
経験だけでコンマ数ミリの世界を仕上げていく職人技であり、日本が古くから誇りとする建築の伝統的な技能・技法の一つです。
ただ、漆喰の壁などは別として、左官の仕事は下地の塗りが大半です。
つまり建物が竣工すれば基本的に表に出るものではなく、壁面素材の下に隠れてしまう技術です。
それでも手の良い左官の仕事は美しい壁を成立させ、確実になくてはならない役割を果たしてくれます。
まさに縁の下の力持ちといえますが、近年では日本古来の伝統技法として脚光を浴びるようになりました。
左官にとって重要な道具がこてです。
現場によって使うこてを変え、大小10種類以上のこてを持参する左官も少なくありません。
さばきを見れば実力が一目でわかってしまうといわれる難しい技術であり、単に壁を平らに塗るだけでも人によって大きな技量差が出るという厳しい世界です。
現場を長く務める左官は愛用のこてを持ち、長年使い続けることで手の感覚だけでこてを見分けられるレベルに達するといわれます。
実直で、地味で、シンプルなこての作業が左官の世界ですが、腕の良し悪しが明確に出る分、やりがいや達成感も大きい世界といえるでしょう。
天井近くは、高所作業車に乗って作業する場合もあり、一つひとつ異なる建物や現場で、一つひとつの作業内容も変えながらその卓越した技術を奮う仕事です。

左官になるには

よくいわれるのは、「左官になるのは難しくないが、一人前になるのは難しい」という言葉です。
左官の活躍する場は内装工事会社や左官工事会社ですが、もし誰かが未経験からでも左官になりたいと考えれば、そうした会社の門戸を叩いて雇ってもらうことも不可能ではありません。
左官になるのに特別な資格は必要なく、意欲と熱意があれば基本的には可能だからです。
もちろん現場でさまざまな仕事を重ねて勉強し、腕を磨き、修業を重ねて経験することで少しずつ技術を身に付ける必要がありますが、結論からすれば実力さえ身に付ければ成し得る仕事です。
資格としては「左官技能士」という国家資格があり、都道府県職業能力開発協会が実施する学科と実技の試験に合格することで取得できます。
DIY流行りで自宅の壁に漆喰やモルタルを塗る人もいるかもしれませんが、簡単そうに見えて極めて専門的な技術が必要だということは、おそらくすぐにわかるでしょう。
同時に感性も求められる職人芸の域であり、それだけに若い人の中にも左官に憧れて門戸を叩く人が増えています。
現代建築ではタイル貼りやレンガ積みなども左官が請け負う仕事になっていますが、技能検定制度にもとづく左官技能士の国家資格は伝統技術である左官の中級~上級者を対象に設けられています。
資格には一級、二級、三級があり、いずれも一定の実務経験があることが受験の条件です。
一級左官技能検定合格者は職業訓練指導員の免許も取得することが可能であり、国土交通省が発注する官庁営繕工事を請け負うことが可能となります。
官庁営繕工事で指定する職種には一級技能士現場常駐制度による常駐者が必要となりますが、一級左官技能検定合格者は常駐者となれる権利が発生し、社会的地位も非常に高い資格者といえます。
もちろん難易度は非常に高いのですが、しっかり左官の実務経験を積めば合格も可能ですので、ほかの建築系国家資格よりは比較的取得しやすいでしょう。
いずれにせよ間違いなく実力がものをいう職業ですから、基本的な実務に資格は必要ないとはいえ、左官となる以上国家資格取得を目指すのも一つの選択です。
建築業界全般において、近年では腕の良い職人の高齢化が大きな課題となっています。
これから左官として職に就くことを考えているなら、そうした先人たちの技を継ぎ、次世代の左官として日本を背負って活躍する道もあるでしょう。
もちろん女性も活躍していますが、建築業ですから体力勝負である点はあらかじめ覚悟が必要です。

左官を学べる場は

左官業に携わるために必須とされる学科は特にありません。
学びたい場合には公的な職業訓練施設で基礎的な技能を学ぶことはできますが、あくまで基礎的な部分しか学ぶことはできませんのでそこは認識が必要です。
左官の技能は現場で学ぶのが最適であり、左官工事業を請け負っている会社へ就くのが一番の近道です。
特に現場では臨機応変に動くことが重要で、モルタルを塗るにしても季節や気候、気温や湿度の変化にその場で対応しなければなりません。
刻々と乾く時間が変化したり、同じ塗り方でも仕上がりが微妙に異なったりする場合もあります。
こうした状況に応じた判断力は、どうしても一定の現場経験を積まないと身に付きません。
納得できる技術が得られるまでコツコツと粘り強く仕事に向き合う、そうした資質を持つ人こそ、左官の現場に必要とされる人材といえます。
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