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  3. 地質調査業の仕事内容は?必要な資格はあるの?

地質調査業とは

地質調査業という仕事は一般的にはあまりなじみがないかもしれませんが、さまざまな分野で私たちの安全な生活を支えています。
地震や津波、たいふうなど自然災害の多い日本にとっては大きな社会的役割を担っている仕事です。

地質調査の目的

地質調査業は地表地質踏査、物理探査、ボーリングなどさまざまな地質調査方法を用いて、目で見ることのできない地下の部分について地質学的、地球物理学的、土質工学的なアプローチから分析を行うのが仕事です。
その目的は主に3つに分けることができます。

1.学術的分野

地質調査の目的の一つは「学問的な探求」です。
地球科学の一分野として地球がどのようにして今のような姿になったのか、その生成過程を解明すること、さらには地質を「形」「質」「量」的に明らかにすることで将来的に地震予知などに役立てることです。
そのため、地質調査業者の仕事は通商産業省工業技術院地質調査所をはじめとして、国や大学などの研究機関からも発注されることがあります。

2.資源開発分野

2つ目の目的は、石炭をはじめ石油や地熱といったさまざまな「地下資源の開発」です。
特に戦前から戦後すぐの時期においては、石炭の採掘は日本の主要産業の一つであり、現在の技術の多くは、この分野によって培われてきたといっても過言ではありません。

3.建設事業分野

現在の地質調査のほとんどが、3つ目に紹介する「国土開発や保全」といった建設事業を目的とするものです。
その事業内容は非常に幅広く、一軒の住宅やビルを建てる目的で行われることもあれば、トンネルやダムといった大規模な公共事業、さらには新幹線や高速道路など社会資本整備のために行わることもあります。
十分な調査を行うことで地盤や地下水の工学的反応を確かめるのはもちろんのこと、地滑りや崩壊が発生することはないか、地下から掘り出した土砂などに有害物質が含まれていないか、元々その地域に生息していた動物や植物の生態系に深刻な影響を与えることはないか、など多くのことが分かります。

地質調査業の仕事内容

地質調査業の仕事内容について、建設事業分野を例にとって詳しく説明していきます。

1.文献資料の調査

実際に調査を行う前には工事現場周辺の地形図や地盤図、空中写真などを使って事前調査を行います。
また、この現場で以前に工事が行われているのであれば工事記録を参照することや、
大きな災害が起きているのであれば災害記録なども参考にしながら、広域的かつ総合的に地盤状況を把握するのが地質調査の仕事の第一歩です。

1.文献資料の調査

実際に調査を行う前には工事現場周辺の地形図や地盤図、空中写真などを使って事前調査を行います。
また、この現場で以前に工事が行われているのであれば工事記録を参照することや、
大きな災害が起きているのであれば災害記録なども参考にしながら、広域的かつ総合的に地盤状況を把握するのが地質調査の仕事の第一歩です。

2.地表地質調査

事前調査は文献資料を見るだけではなく、目視でも行われます。
経験豊富な専門家・技術者がクリノメーターやハンマーなどを持ちながら現場周辺を歩き回り、地表部分の地形や露頭、転石などをチェックしてルートマップを作成し、最終的に地質図としてまとめます。

3.物理探査

地下の地盤は目視で確認することができないばかりでなく、砂や粘土、砂利、水などが層をなしている複雑な構造であることが一般的です。
地下空間がどうなっているかを確認するために非破壊的な手法を用いて行われるのが物理探査です。
物理探査の代表的な手法には、次のようなものがあります。
a)弾性波探査
主に地滑りの調査のために用いられる手法であり、地表付近でダイナマイトなどを爆破させて、その際に発生する弾性波(P波またはS波)の速度や反射係数を測定することで地質の構造を確認するものです。
弾性波探査には屈折法や浅層反射法、弾性波トモグラフィーなどがあります。

b)電気探査
地盤を構成している物質は、それぞれに異なる電気的特性を有しています。
一定間隔に配置した電極から地盤内に交替電流を流したときに形成される電位分布を測定することで地盤を調査する手法です。
地下水や温泉など水資源の分布状況を把握するために用いられることが多い手法でもあります。

c)電磁探査
電磁探査は電気探査の一種ですが、電気探査のように電極を設置することなく自然の地磁気と地電流を測定する手法です。
電位差によって地盤の比抵抗特性を解析することが可能で、どの部分に地下水が流れているか、空洞がないか、といったことが把握できます。

d)ジオトモグラフィー
ジオトモグラフィーはX線CTや超音波CTを用いて地下深部の構造を探査する手法です。
医療に用いられているCTスキャンをイメージすると分かりやすいかもしれません。
目的に応じた適切な測線・測点を設定することで制度の高い解析を行うことが可能です。

4.ボーリング調査

非破壊で行わる物理探査とは対象的に、実際に地盤を掘ってみて直接的に観察するのがボーリング調査です。
地盤に細い円筒形の孔を開け、そこからサンプリングコアを採取します。
採取したコアは土質試験や岩石試験に回され、地盤の状況や地層境界の震度などの情報を調べるために使われます。
ボーリング調査には広いスペースが必要になりますが、現場の土を採取できるため観察が容易で、各種データと比較しやすいというメリットがあります。

5.試験・計測

地盤調査は物理探査やボーリング調査だけではありません。
さまざまな計測機器を用いて行われるいくつかの調査を適宜組み合わせることで、より詳しく地盤の状態を調べます。
ここでは代表的な試験・検査を2つ紹介します。
a)スウェーデン式サウンディング試験
スウェーデン式サウンディング試験は、その名前の通りスウェーデンで開発された地盤調査の手法です。
先端にドリル状の部品を取り付けた棒を地中に打ち込んで垂直に突き立て、そこにおもりを載せたときの棒の沈み込みの度合いによって地盤の強度を測定します。
ボーリング調査に比べて低コストで行えるため、個人向けの住宅の地盤調査によく使われます。

b)孔内水平載荷試験
孔内水平載荷試験はボーリング調査のために開けた孔を利用して行う試験です。
ボーリング孔の側壁にガス圧や油圧をかけ、その変化を測定することで地盤の強度を測定します。
この試験では特に地盤の水平方向への強度が測定できるため、地震に対する地盤の強さを知るためには適した手法です。

6. 調査結果のまとめ

一連の調査が終了したら、調査から得られたデータを整理してボーリング柱状図を作成します。
ボーリング柱状図は土質柱状図と岩盤柱状図から構成されます。
a)土質柱状図
土質柱状図では「1~5mまでは砂質粘土」「5~10mまではシルト」といったように、ボーリング調査によって採取したサンプリングコアに含まれる土質をその深度と合わせてまとめてあります。
また、地盤の強度を示す「N値」も記されています。

b)岩盤柱状図
岩盤柱状図ではサンプリングコアを観察することで得られる「岩盤名や岩質」「RQD値(岩盤の割れ目の多さを示す指標)」「岩盤の風化の度合い」「岩級区分」などの情報がまとめられています。

7.報告書作成

全てのデータの解析が終了したら、その結果を報告書にまとめます。
報告書には総合結果だけでなく、クライアントの要求する項目に応じて「地下水位」「N値」「液状化の危険性」「地盤の支持力」といった個々のデータについても提供します。

地質調査業を目指すために必要な資格

地質調査業の仕事をするために絶対に必要となる資格はありません。
資格がなくても仕事に従事することはできます。
実際、地質調査業には未経験者歓迎の求人も多く見られますが、「地質調査技士」の資格を取得しておくとキャリアアップにも有利ですし、より良い待遇の採用が可能になります。
地質調査技士資格は地質調査業務のうち、ボーリング調査に関する記述や機器の操作、管理などを行うことができる技術者の知識とスキルを認定するものです。
昭和41年に創設され、現在までに2万人以上が取得しています。
試験は筆記試験と口頭試験で行われ、合格率は30~40%と難易度はそれほど高くありません。
一度取得した資格は5年間有効で、指定された講習会を受講してCDP単位を取得することで資格の更新を行います。
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