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  3. 浚渫工事業とは?仕事の種類や資格について徹底チェック

港や河川に関わる浚渫工事業

建設業に興味はあるけれど、業種選びに頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。
建設工事には、29の業種がありますが、どの業種も専門的な技術や知識を要するため、取得する業種によって仕事内容も大きく異なります。
業種の選択を間違えると、自分に向かない仕事を延々と続けることになりますので、注意が必要です。
浚渫(しゅんせつ)工事業は、29の専門業種の一つで、主に港や河川に関係する工事を行います。
浚渫工事はあまり馴染みのない仕事かもしれませんが、海洋土木工事に興味を感じる場合や特定の技術や資格を活かしてキャリアアップを目指すなら、おすすめです。
ここでは浚渫工事業の主な仕事内容や種類、必要な資格などについて詳しく説明します。

浚渫工事業について

船は港から港へ運航していますが、その際航路と呼ばれる海の道を通ります。
港には、到着した船が停泊するためや方向を変える水域がありますが、ここを泊地(はくち)といいます。
航路や泊地は、船が安全に活動できるように、常にメンテナンスする必要がありますが、それを担うのが浚渫工事業です。
「浚渫」には、水底から土砂を汲み取るという意味があります。
もし泊地に土砂が堆積し、船が停泊するのに十分な水深が確保できなかった場合、船底が海底にぶつかる危険があります。
そうしたリスクを避けるために行われる浚渫工事は、港の整備・維持するのに重要な業種といえるでしょう。
浚渫工事は単に海底から土砂をすくって取り除くというわけではありません。
作業は潮の流れや速さ、それから風向きに影響を受けますので、それらの要素を考慮しながら行う必要があります。
また巨大な重機を操縦しながら、必要な分だけ掘り下げて土砂を取り除く作業は、プロの領域に入ります。

浚渫工事はどこで行われる?工事の種類は?

浚渫工事は、主に港で行われます。
船が停泊する港には、河川などから流れ込んだ土砂のほか、災害の発生で海に流入したがれきやゴミなども堆積します。
そうした不要物を取り除く作業を担うのが浚渫工事業です。
河川に土砂などが堆積すると、台風や大雨など、災害時に川が氾濫するリスクが高くなります。
浚渫工事業は、適度に水深を保つよう、川底をさらう作業も行います。
浚渫工事には、ポンプ浚渫とグラブ浚渫と大きく分けて2種類の工事方法があります。

・ポンプ浚渫

ポンプ浚渫は、土砂と海水を一緒に吸い上げて、海底にたまった土砂を取り除く工事のことです。
作業する範囲が広く、一度に大量の土砂を処理する場合に用いられます。
海水を一緒に吸い上げますので、海水を受ける装置(排砂池)が不可欠です。
ポンプ浚渫船は、海底の土砂を切り崩すためのカッターヘッドと、巨大な吸水ポンプを搭載しています。
作業する場所に吸水ポンプをおろし、カッターヘッドを回転させながら土砂を削っていくのです。
ポンプ浚渫船に装備されているラダーで、ポンプとカッターヘッドを、作業する水の深さに合わせて調節します。
切り崩された土砂は、海水とともに吸水ポンプに吸い取られ、排出管へ運ばれるのです。
吸い取られた海水と土砂は、最終的に排出管から排砂池へ送られますが、排砂池には土砂が蓄積されます。

・グラブ浚渫

グラブ浚渫は、専用の船(グラブ浚渫船)を使い、海底の土砂をつかみ取って処理する工事方法です。
この方法は、ポンプ浚渫に不向きな狭い場所での作業や、堆積している土砂が硬い場合に用いられます。
クラブ浚渫船の先端には、大きなグラブバケットが付いていますが、この部分を使って土砂を砕き、すくい取るのです。
グラブバケットのサイズはさまざまで、作業の規模に合わせて使い分けられます。
グラブ浚渫船の近くには土運船(どうんせん)と呼ばれる船が待機し、グラブバケットによってつかみ取られた土砂は、この船に積まれていくのです。
土運線は、積み込んだ土砂を埋立地へと運びます。

浚渫工事業に必要な資格とその種類

浚渫工事業の求人の中には、未経験・学歴不問としているところもありますので、応募する時点では、特別資格を持っていなくても採用してもらえる可能性があります。
ですが、仕事の幅を広げ、キャリアアップを目指すなら、浚渫工事業には資格が必要と考えておいたほうが良いでしょう。
浚渫工事業に必要な資格は、土木施工管理技士と技術士に大きく分けられます。

・土木施工管理技士

土木施工管理技士は、施工管理技士国家資格の一つで、一級と二級があります。
どちらも取得すると、河川や湾港での土木工事が可能となり、一級土木施工管理技士は主任技術者として施工計画を立てることや工事現場の安全管理や工程管理を行うことができます。
一級・二級とも試験には学科試験と実地試験があり、両方に合格することが資格取得の条件です。
合格率はその年によって大きな差がありますが、一級では10~30%ほどになります。
二級土木施工管理技士の受験資格は、指定学科または指定学科外の大学・短大・専門学校・高等学校を卒業し、それぞれ決められた期間の実務経験を積む必要があります。
学歴がない場合は、8年以上の実務経験を重ねることで受験資格が得られるのです。
一級土木施工管理技士の受験資格は、1年以上の指導監督的実務経験または主任技術者の実務経験があることが前提で、学歴や二級土木施工管理技士取得の有無により、必要な実務経験の長さが異なります。
仮に学歴や二級を取得していなくても、指導監督または主任技術者の実務経験があれば、一級土木施工管理技士の取得は可能です。
ただし実務経験(13~15年)を重ねる必要があります。

・技術士

技術士と一口にいっても資格の種類は複数あり、浚渫工事業に必要なものは、「建設」「総合技術監理(建設)」「総合技術監理(鋼構造及びコンクリート)」「鋼構造及びコンクリート(建設)」「水産土木」「総合技術監理(水産土木)」になります。
技術士になるには、技術士第一次試験と技術士第二次試験に合格する必要があるのです。
技術士第一次試験に合格するには、独学で勉強して受験するか、指定された教育課程を修了します。
その後「修習技術者」として7年~10年の実務経験を積むと(大学院卒や技術士補の資格を有している場合は、必要な実務経験の期間は短くなります)、技術士第二次試験の受験資格が発生します。
筆記試験と口頭試験に合格後、技術者として登録されるのです。
浚渫工事の仕事は、特に学歴や資格なくても始められますが、専門的なスキルや知識が必要になりますので、資格は持っていたほうが良いでしょう。
特に高度な資格を持っていると、責任のある仕事を任される可能性が出て、キャリアアップにつながります。
企業内で役職に就けば収入も増えますので、資格を持つことによるメリットは未知数です。

浚渫工事業に関わる人の年収

浚渫工事業に関わる人の給与は、勤務している企業によってばらつきがあり、仕事の内容などによっても異なるため、一定しているわけではありません。
厚生省によりますと、技術士の平均年収は約572万円です。
ただし技術士としての資格を有し、ある程度の経験を積んでいる人の年収ですので、新入社員の場合はこれよりも低めになります。
反対に一級土木施工管理技士などの資格を持ち、実務経験を重ねている場合は、より多くの収入が期待できます。
浚渫工事業は、年収アップが期待できる業種なので、経験を積み、できるだけ高度な資格を取得する姿勢を持つことがポイントになります。

浚渫工事業の仕事に向いている人は?

浚渫工事行は、専門技術を使った仕事ですので、特定のスキルを身に付け、仕事に役立てたいという人に向いています。
港や河川での仕事が多いので、海や川、堆積する土砂などに興味を持っている人にとってもやりがいのある仕事になるでしょう。
港の整備や維持という、継続して行う必要のある浚渫工事は、将来も需要が続く業種です。
必要なスキルや知識を身に付けると、さまざまな場所で工事が経験できるほか、経験を積むごとにキャリアや年収がアップするチャンスに恵まれます。
やりがいがあると感じたら、就職を検討してみてはいかがでしょうか。
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